【ZWS-603購入】ZHIWHISとは?調査と推測の結果

どうも、Amazonが生活に欠かせなくなっている者です。
Amazonを使い始めて、もう20年近くになるかな?
生活に必要な食料品(昨今だと特にお米)や酒、仕事や趣味の書籍にパソコンパーツにと、今まで長きに亘って何かと便利に使っている。
そこで以前から「ラジオが欲すぃ」と思っていて、Amazonでよく目にする「ZHIWHIS」というラジオの性能とそのレビューの評判が良さげなので、先日ZWS-603を購入して楽しんでいる。
当初はZWS-603のレビューを兼ねて使い方とその応用について記事を書こうと思っていたが、実は購入前から「ZHIWHISって何なん?似たような製品が別のメーカー(ブランド?)からも出てるけど?」と思っていて、ググッてもちゃんと説明している記事を書いている人がいない。
そこで、私と同様に疑問に思う人がいるだろうし、まずはこの疑問を調査しようと思ったのである。

ZHIWHISの読み方の謎

無理に英語読みすれば「ツィウィス」かなぁ?と思っていた。
ところが、Google神の試験運用中であらせられる生成AI様は「ZHIWHIS(ジハイビス)は、Bluetoothスピーカーやラジオなどの小型ポータブル機器を販売しているブランドです。」とおっしゃる。
字牌ジハイ」まではまぁいいけど、どっから「ビス」が出て来るんだよ?
使えない生成AIはともかく、私が購入したAmazonの商品ページにはメーカー名もなく、原産国(生産国)の表示もない。

恐らくこの手のラジオはその金額からしても中華製に違いないし、ネットで記事を書いている人が少ないのに比して、YouTubeで他のZHIWHISラジオを含めレビューしてる人は割といて「中華製」と言っているから、支那にある会社のブランド名なんだろう。

ZHIWHISブランド紹介

上記画像のように、微妙に日本語がオカシイのも中華クオリティだから間違いない。
私は金額を含めた高機能っぷりが気に入ったため、その辺はあまり気にせず注文し、翌日ブツが届いたので早速マニュアルを読んでみた。
紙っぴらのマニュアルの冒頭には、こう書いてある。

 このたびは弊社商品ZWS-603をお買い上げいただきましてまことにありがとうございます。
 紙のサイズが限っていますので、印刷した字数が小さいです。お客様は弊店にご連絡してマニュアルのフルデジタル版(59ページ)を入手することができます。
またはメールでご連絡ください。ZHIWHIS@SINA.COM

やはり日本語がちょっとオカシイし、それにメールアドレスを英字大文字で表記するなよな(苦笑)。
最後まで読んでみると、次のページまでが製品付属マニュアルの全部である。

ZWS-603添付マニュアル最終ページ

あのさ、保証期間中もクソも、問い合わせ先がメールだけやないかい!
いくら簡略化されたマニュアルでも、普通は製品仕様ぐらいは書いてあるものだが、それも皆無だ。
仕方がないからすぐにメールでフルデジタル版とやらのマニュアルを請求したところ、翌日の昼頃にマニュアルのPDFが添付された返信が来た(ちなみにマニュアルのPDFにも製品仕様の記述はなかった)。

ZWS-603マニュアル請求返信メール

まさか3月になっても新年の挨拶をされるとは思わなかったが、支那の旧正月だか春節だか知らんが、それにしたって2月の話だよね?
それはともかく、対応の速さとその文面からして誠実さと熱意が伝わるし、何よりもZHIWHISが「ツィーウィス」と読むことと、Amazonでしか販売とサポートをしていないことが分かった。
念のためAmazonで出品者情報を確認してみたが、「出品者の所在国は中国です」のみで、会社名とその所在地や連絡先住所も何も記載がなかった。

AliExpressで見かけるHanRongDaとそっくり

実はラジオが欲しいと思っていたのは1年ぐらい前からで、Amazonでもちょこちょこ検索はしていた。
体調が絶不調で、日によってはパソコンどころかテレビも見ていられないし、寝ながら音声を聴いていても、不快なテレビ番組が流れるとチャンネルを変えるのも大儀だった。
何度も死を覚悟したし、とうとう救急搬送されて強制入院となったが、この時ほどラジオが欲しいと思ったことはない。
とりあえずドッサリ薬を貰って退院して今に至るが、ネット検索先のサイトにアクセスするたびにチラチラとGoogleアドセンスでAliExpress(アリエクスプレス:通称「アリエク」)の広告が目に入る。
アリエクAlibaba(アリババ:支那のAmazon的な大企業)の越境ECなのは知っていたが、ともかく安いのでアカウントだけは作っておいて、怪しいとは思いながらもチェックしていたのだ。
結果として私はAmazonでZHIWHIS ZWS-603を購入したが、購入前に次の動画を見てアリエクもチェックしていた。

この動画で紹介していて、アリエクで購入したと動画主が言っているHanRongDa K-603は、Amazonで販売されているZHIWHIS ZWS-603と比較しても外見と性能(仕様)が全く同じで、アリエクの方が安いが、マニュアルが英語で注文してもすぐに届かない点がAmazonとは異なる。
中華製品に多いOEMか、そのOEMのパクリ製品の亜種なのか、どっちがどっちで何が何だか調べてみる必要がある。
というのは、Retekess V115という外見がちょっと違うだけで、性能(仕様)が同じ製品がAmazonでも販売されているからだ。

もっと言えば、HRD-603というZHIWHIS ZWS-603と全く同じだと思える製品がAmazonでも販売されているため、余計にヤヤコシイ。

源流はAudiomax SRW-810

検索の鬼である私はググりまくって調査した結果、次の動画に行き着いた。

この動画のラジオは中華製のAudiomax SRW-810で、Audiomax(オーディオマックス)がメーカー名なのかブランド名なのかは不明なものの、今から10年ぐらい前にアリエクで入手したラジオマニアがいたようだ。
このラジオのコンセプト(実際の仕様)としては、

  • FM・AM・SW(短波)ラジオが聴ける
  • TFカード(マイクロSDカード)にラジオ放送が録音できる
  • マイクを内蔵していてマイクとAUX入力ジャックからも録音ができる
  • TFカードにMP3ファイルを保存することでMP3プレーヤーとしても使える
  • バッテリーはノキア規格のリチウムイオン電池BL-5C仕様(交換可能)
  • 重低音用のパッシブラジエーターを背面に備えていて(値段とサイズの割に)音が良い

といったもので、私が購入したZHIWHIS ZWS-603の基本となるコンセプトの源流に当たるような製品である。
SRW-8103,000円もしない安価なラジオだったようだが、安価なのにこの多機能なコンセプトがウケてAmazonでも過去に取り扱いがあったようだ。
しかし、当然「安定の中華製」なので詰めが甘い

  • ラジオとしての感度(性能)がイマイチ(むしろ悪い)
  • 電源を入れるたびにボリューム設定がリセットされる
  • 液晶のバックライトが不均一で見にくい
  • 支那語しかサポートしてない(英語すらない)

上記の欠点を解消したのが後継機のAudiomax SRW-710Sで、2020年前後頃にラジオマニアの間で人気になった(らしい)。

Audiomax SRW-710S

しかし、上記画像のSRW-710Sは先代のSRW-810と同様、日本国内で使うには致命的な欠点がある。
FMバンドが国際仕様(西欧・オセアニア・支那・アフリカ/北米と南米は下限が87.5MHz)の87~108MHzで、日本仕様の76~108MHzと違ってバンドの下限が87MHzであるため、国内のFM放送の一部(というか、各地の主要なFM局の放送)が受信できないのだ。
我が大サイタマー帝国が誇るFM放送局、NACK5(ナックファイブ:79.5MHz)が受信できないのだから、本来なら帝国は支那に宣戦を布告するところだが、所詮はラジオだ。
秋葉原の東京ラジオデパートにあるShigezone(シゲゾーン)では、本体を改造してFMバンドの下限を70MHzにする1KΩ抵抗をパッケージに付けて販売し、改造のやり方を公式サイトで公開して好評を博していたようだ。

たかだか3,000円のラジオにそこまでするか?」と思うかも知れないが、それはマニアとはどういうモノかが分かっていない証拠だ。
かつてのラジオ少年というのは、自分で電子工作してラジオを作るなんてのは朝飯前で、しかもたったひとつ1KΩ抵抗を基盤にハンダ付けする改造なんて、赤子の手をひねるよりも簡単だ。
それに少々手を加えるぐらいがラジオマニアには丁度いい刺激にもなるし、それだけ機能的に魅力があるラジオなのだ。
私を含め若い頃にバイクに乗っていた、今やヲヤヂ世代の人たちが再度バイクに乗って「リターンバイカー」になっているように、時期的に2010年代後半はかつてのラジオ少年やBCLマニアが続々と「リターンBCL」として回帰して来た頃でもある。

RetekessとHanRongDaとZHIWHISと

1970~1980年代の日本は、BCL全盛の時代だった。
当時の小学校高学年から中学生、高校生の相棒は今と違ってスマホではなくラジオで、私もそうだが電子工作キットでラジオを作る小学生なんてザラだった。
中学生にもなれば深夜放送を聴くのは当たり前だったし、中間・期末の試験勉強のお供は常にラジオだったものだ。
ラジオ好きが高じると、より感度が良くて世界各国のラジオ放送が聴ける高価で高性能なBCLラジオに憧れたし、ラジオ放送を受信してベリカードを集めるといった趣味も旺盛で、当時の月刊誌『初歩のラジオ』(誠文堂新光社:略称「初ラ」)や、『ラジオの製作』(電波新聞社:略称「ラ製」)を買って勉強したものだった。
音楽が好きな人はFMラジオが元でオーディオマニアになって行ったし、ラジオを聴くだけで飽き足らない人は、自分で電波を飛ばすアマチュア無線(ハム)に行った。
私は小5ぐらいからボツボツ『ラジオの製作』を買って読んでいたため(私は初ラではなくラ製派で、中学生になると毎月買って読んでいた)、別冊として出て独立した月刊誌になった『マイコンBASICマガジン』(略称「ベーマガ」)で小学生の頃からパソコン方面に同時並行的に向かっていた。
ちなみに、1980年代は普通のAMラジオでも北朝鮮のスパイ放送(乱数放送)が23:00~01:00の間に飛び込んで来たものだ(夜間は電離層で電波を吸収するD層が消滅するため、電波はE層で反射しながら遠くまで飛ぶ性質がある)。
BCLに力を入れていた『ラジオの製作』や、特にラジオ・無線系でアングラ情報に強みを持っている月刊『ラジオライフ』(三才ブックス:略称「RL」)が誌面で何度か取り上げたが、当時は北朝鮮による日本人拉致なんて日本人にはまったく想像の範囲外のことで、誰もその放送の意味するところが分からなかった。
ともあれ、1980年代も末になるとBCLはブームとして完全に下火になり、高級で高性能なBCLラジオを作っていたソニー(スカイセンサーシリーズ)やパナソニック(旧ナショナル:クーガシリーズ)、東芝(トライエックスシリーズ)は製造・販売を徐々に縮小し、ついには中止してしまった。
ゆえに、今や高性能なラジオや高級なBCLラジオは国産が消滅し、全面的に中華製ラジオが占めるようになってしまった経緯がある。
さて、前章で取り上げたAudiomax SRW-710Sだが、見て分かるように現在のRetekess V115の外見そのまんまだ。

Audiomax SRW-710S

Retekess V115

ひょっとしたらSRW-710Sの製造元はRetekess(レテケス:厳密にはSVBONY(エスブイボニー)社が持つブランドのひとつ)だったのかも知れないが、まるでV115はその後継機種のようだ。
つまり、V115SRW-710Sが日本で人気が出たためにFMバンドを日本仕様にし、日本語に対応した製品だと言えるのではないか。
これも私の推測の域を出ないが、ZHIWHISが単なるブランド名なら製造元はHanRongDa(ハンロンダ)で、Retekess同様にHanRongDaが日本仕様としてZWS-603を投入し、ZHIWHISをブランド展開したと考える方が自然だ。
調べてみるとRetekessHanRongDaはともに支那の深圳(シンセン)発のメーカーで、資本関係その他は分からないが、明らかに別のメーカーだ。
HanRongDaSRW-710Sをベースにして独自に改良し、製品化して日本市場向けに投入したのがZHIWHIS ZWS-603で、自社ブランドでAmazonに投入している製品がHRD-603だと言えるだろう。
HanRongDaを調べると、面白いことに自社サイトを持たず、Alibabaのモール(?)の中にしかサイトがない。

HanRongDa企業紹介

Alibabaの中にあるHanRongDaの上記画像の「弊社について」(ABOUT US)を読むと、次のようなことが書いてある。

深圳市漢栄達(Hanrongda)電子有限公司は、自社ブランド、自社工場、生産優位性、創造性第一、品質第一を堅持し、薄利多売の経営理念で、海外と東南アジアに長期的なディーラー網を構築します(テキトー訳)。

立派なことが英語で書かれているが、「credibility」じゃなくて「creatibility」な?
ZHIWHISHanRongDaのブランド名だとした場合、こういう詰めの甘さが製品にも現れているんだが、それはレビュー記事で指摘することにしよう。
ともあれ、ZHIWHISブランドがAmazonでしか販売・サポートをしていないように、HanRongDaAlibabaでしか販売・サポートをしていないようだ。
ゆえに私はZHIWHISHanRongDaの日本向けブランドだと推測するのだが、驚くことにHanRongDaAlibabaでしか卸売りをしていないようだし、小売りはAlibabaの越境ECであるアリエクとAmazonに限定しているようだ。
これがHanRongDaの考える「薄利多売の経営理念」なのかも知れないが、いやぁ、今の日本人にはこういう思い切った合理的な発想と実践は出来ねーわ。

おわりに

日本初のトランジスタ・ラジオは、東京通信工業(略称「トーツーコー」)が1955(昭和30)年に発売した「TR-55」として知られている。
トランジスタそのものは1948(昭和23)年にアメリカのAT&Tベル研究所ウィリアム・ショックレーを中心とした3人の理学者によって発明され、トランジスタの発明を機に日本を含む先進国は半導体によるコンピュータを背景に超情報化社会になるが、それは本旨ではないし、ちゃんと説明すると本が一冊書けてしまうので割愛する。
ひとつだけ書いておくと、AT&Tベル研究所では何であれ、何かしら発明して特許を取得した社員への報酬がたった1ドルであったため、ショックレーはその待遇に納得がいかず退職し、カリフォルニアのベイエリア南部に移り住んだ。これが現在のシリコンバレーの始まりである。
当時、トランジスタの製造特許を持っていたのがウェスタンエレクトリック(WE)社で、トーツーコーはWE社と法外とも言えるほどの金額で製造許諾と使用権を締結したが、それはトランジスタの製造と使用を許されただけで、WE社からトランジスタの製造技術を供与してもらえるライセンスではなかった。
ところが、当時は日本でもトランジスタなんてまだ限られたほんの一部の人間しか知らないのに、トーツーコーは自前の技術力でトランジスタの製造に成功してしまう。
これは実に空前絶後で驚異的なことだが、このことについてソニー自身が自分で詳細に書いている。

ワック出版部『ソニー自叙伝』

トーツーコーこと東京通信工業は、製造したトランジスタをラジオに応用することでラジオの小型化と高性能化、高品質化を一気に進めたが、当時の日本人にはトランジスタ・ラジオは高価過ぎて売れないため、外貨獲得もあって対米輸出を試みた。
その時のブランド名が「ソニー」であり、語源はラテン語の「sonus」(英語「sound」の語源)と「sonny」(坊や)を掛け合わせたものだった。
東京通信工業の共同創業者で営業を担当した盛田昭夫は、敗戦国ニッポンの小さな「東京通信工業」なんて会社は世界では誰も知らないし、そもそも発音すら出来ないと考えていた。
そして当時の日本企業は仮に自社製品を海外に輸出できたとしてもOEMがせいぜいだが、盛田は頑として他社へのOEMは受け付けなかった。
当時はそれだけトランジスタを組み込んだ製品は世界を見渡してもまだほとんど世に出ておらず、盛田はそこに自社の世界的な勝機があると信じて疑わなかった。
結果から言えば、戦後における日本の対米輸出第一号は東京通信工業(その後「ソニー」に社名変更)のトランジスタ・ラジオだったし、ここからソニーの大躍進が始まった。
・・・私なりに調査は尽くしたが、私にはRetekessHanRongDaの関係がついに分からなかった。
Retekessを調べるとOEM事業があって積極的に売り込んでさえいるから、ひょっとしてひょっとするとHanRongDaZWS-603アリエクでのK-603、AmazonでのHRD-603RetekessのOEMなのかも知れないが、私にはどうも、そうは思えない。
コンセプトや実装ですらも含めて良いところを真似て、オリジナルの製品を開発・製造・販売するというのは、元々は我々や日本企業が得意とするところだ。
そして特定市場向けに自社名とは異なるブランド名で展開するというのも、販売戦略として理にかなっている場合が多い。
もしZHIWHISが日本市場向けのブランド名で、HanRongDaが持つブランド名だとしたら、やはり詰めが甘い
支那人からしたら「ZHIWHIS」は誰でも読めて発音が出来るのかも知れないが、フツーに日本人には読めないし発音が出来ないから、ブランドの認知力が弱いと言わざるを得ない。
私は中華ブランドに絶対と言っていいほど好感を持たないが、今回購入した製品の良さと誠実な対応、そして熱意が感じられるところから、ZHIWHISだけは唯一好感と好意を持っている
調査をしても断言が出来るほどのファクトが出て来なかったため、すべて私の推測と仮定の話でしかないが、もし私の推測が正しいなら「第二のソニー」になり得たかも知れないHanRongDaの詰めの甘さが、私には残念に思えてならない。

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