【刮目せよ!】武山駐屯地・陸上自衛隊高等工科学校見学レポート

8月の上旬、ある保守系団体の代表の方からメッセージとPDFが飛んで来て、「私の母校の高等工科学校の見学会があるそうでなので、もし都合が良かったらどうですか?」とお誘いがあった。
PDFを見ると、見学場所が「陸上自衛隊武山駐屯地 高等工科学校ほか」とあり、まだ学校以外の見学先が決まっていないようだったが、「私の母校を見て欲しい」とのことだったので、内容は良く分からないものの、参加させていただくことにした。
平日の木曜日だが、ひと月以上も先だから、スケジュールは何とかなるだろう。それよりも、自分の母校を誇りに思う卒業生ほど、自分の母校を見て知って欲しいと願うし、その気持は良く分かる
私自身、高等工科学校の存在はかなり前から知ってはいたが、詳細はほぼ何も知らない。駐屯地の中にあるし、私のような部外者の一般人が見学するチャンスは、まず無いだろう。
当日、天気予報はあいにくの雨で午後に多少降られたものの、なかなか知り得ない内容のだったので、ぜひこれは記事にしたい、と思ったのである。

武山駐屯地の「自衛隊メシ」と高等工科学校生徒の実態

普段の忙しさにかまけていて、スッカリ予定を忘れていたのだが、Googleカレンダーで予定を確認すると「あれ?明日じゃん!?Σ(°Д°)」そのぐらい忘れていた。
大宮駅西口のソニックシティビルに08:50集合なので、時間ちょうどぐらいに着くと(駅でソバ食ってたら、狙っていたちょうどよい電車に滑り込みアウト!で乗れなかった)私が最後のようで、観光バスには参加者がギッシリと乗っていた。
1ヶ月以上前のPDFの内容なんてスッカリ忘れているので、バスに乗り込むや「なんか参加者の年齢層が高いな」と思ったが、バスの前方で空いている席を見付け、初対面の方(年配の女性)に声をかけて、行きと帰りのバスで楽しい時間を過ごさせていただいた。
私は全然よく分からないまま、気さくな年配女性と能天気におしゃべりを楽しみ始めたが、どうやら私のようなごくごく一部を除くと、参加者はほぼ自衛隊の関係者のようである。
しかも、私とおしゃべりをしている女性のお孫さん(!)は高等工科学校を卒業して、東北の駐屯地で自衛官をしているという。どうも、お話からすると息子さんも自衛隊関係者のようで、「あれ?なんでオレったらこんな場違いなバスに乗っているんだろう?」と思いつつ、年配女性と楽しいおしゃべりに興じていた。

そんなこんなで、バスは神奈川県横須賀市にある、海自と空自が隣接する陸上自衛隊武山駐屯地に着いた。時間は11:40頃だったろうか、駐屯地のゲートの所で埼玉地本の方と駐屯地の方がバスに乗り込で写真の入館証(?)を配り、首から下げて下さい等の指示と説明があった。
バスはゲートからしばらく走り、平屋建ての建物の前で止まった。どうやらここで昼食のようだ。

「自分で配膳するので、貴重品以外の荷物はバスに置くように」といった説明があったので、デイパックから財布だけ取り出してバスから出て建物に入ると、そこは広い食堂だ。
まだ11:50頃で職員ぐらいしかいないが、「これが陸上自衛隊の食堂か」と、まさか陸自の食堂で隊員や高等工科学校の生徒と同じメシが食べられるとは思っていもいなかった(先月お誘いを受けた時は、仕出し弁当でも配られるのかと思っていた)。

デジカメはバスのデイパックに置いていたため、食堂内の写真は全部スマホで撮影した。
「野菜いっぱいハヤシ」が食べたい人はこの写真(椅子にボードが乗せてあって、そのすぐ後ろの台の上に実物が乗っている)の左側のレーンを進み、「野菜いっぱいカレー」が食べたい人は右側のレーンを進んで、学食よろしくセルフ配膳をする。
私を含め、「野菜いっぱいハヤシ」を選んだ参加者はいなかったようだ。やっぱり横須賀で自衛隊なら(それが陸自であっても)「カレーだろ?」と思う。

スマホだから写真が下手だが(と、さり気なく自分の下手さ加減をスマホのせいにする)、コレが私の昼食の「野菜いっぱいカレー」である。ううむ、私の苦手な玉ねぎやナスやピーマンがゴロゴロしていて、とっても美味しそう!(棒
なお、ゴハンは自分が食べられる量を自分でよそうが(「一応、遠慮して下さいね?( ^ω^)ニッコリ」と言われた)、スクランブルミックス+ミックス野菜(要するにサラダ)と、フルーチェはすでに一定量がよそわれている皿と小鉢を無造作に取り、最後にカレーを給仕当番の隊員(?)が(恐らくゴハンの量を見て)よそってくれる。
サラダにかけるドレッシングやマヨネーズは好きなモノを使えば良いし、福神漬やラッキョウ(実はラッキョウも苦手)も、好きなだけ添えて良い。まぁ、学食スタイルですな。
「えー、彼ら(高等工科学校生徒)が裏切らなければ、10名ほどが会食に来てくれます」とのことで、私の目の前に「生徒席」の紙が置いてある。
10分もしない内に一斉に食堂が賑やかになり、高等工科学校2年生のI君が、「野菜いっぱいカレー」を捧げて私の前に着席した。
その少し前ぐらいから私はサラダを攻略し、カレーを食べていたが、若いI君へ声をかける他の参加者と、それに応えながら食事をするI君の(なるべく)妨げにならないように、色々と質問をしてみた。
食事の場でメモを取るような無粋なことはしないが、おおよそ次のことをI君がカレーを食べながら、高等工科学校とその生活について教えてくれた。

  • 1学年は約300人で男子校
  • 防大には12~13人程度が毎年進学する
  • 授業はそれほど大変ではない
  • 実は学校生活で部活(I君はレスリング部に所属)が一番大変
  • 生徒は必ず運動部と文化部に入部するが、2年生以降は文化部を辞めても良い
  • 学内で取得できる資格は特にないが、受験日に学外に出て資格は取れる
  • 図書館は充実している(特に歴史関係の図書が多い)
  • 1年生はほぼ丸刈りで、2年・3年と進級するに従って髪の毛は伸ばせるが、最大8センチまでと決まっている
  • 卒業時に任官拒否する生徒は普通にいる

私は17歳で社会に出ていきなりプロのプログラマになったが、17歳のI君は、その当時の私なんかとは比較にならないほどの利発そうな顔つきで、テキパキと質問に応える。実際、優秀な生徒なんだろう。草加の出身とのことだった。
私とは親子ほどの年の差のI君に、私はつとめて丁寧な敬語で質問をしたので、I君は好意的に応えてくれたようだ。私も17歳の頃、常に上から目線の大人には、かなり反感を持ったものだったから。
さて、肝心な「自衛隊メシ」の味だが、とりたてて不味くはないが、とりたてて旨くもない
野菜が摂れるとか、栄養のバランスが良いとかを除いて味だけで言えば、私が中退した高校や、卒業した大学の学食の方が美味しいと思った。
無論、カレーに苦手な野菜がゴロゴロ入っているからと言って残すような私ではないが(どちらかと言えば美味しく食べた)、正直に言えば、味はイマイチだった
普通の高校生なら、昼飯は学食に購買に持参弁当等、まだ食事の選択の自由があるが、高等工科学校の生徒にそれほど食事の自由はない。毎日3食3年間、このクオリティの食事では、「ちょっと可愛そうだな」と思ったのは事実である。
ちなみに、帰りのバスで聞いた隣席の年配女性の話では、高等工科学校の毎月の残飯が金額にすると2,000万円に上るという。
食べ盛りなのに、もっと食事を良くしてあげれば良いのにねぇ」と、言っていたのが印象的だった。

会食が終わり、高等工科学校の生徒のマネをして下膳して外に出ると、出口のすぐ右側に「幹部食堂」の出入り口があった。
武山駐屯地で陸自の幹部とはどの階級を指すのかは分からないが、やはり階級社会だから食堂も別になっているのだな、と思った。

高等工科学校のあまり知られていない実態

食堂からバスに乗り込み、次に向かったのは高等工科学校の講堂で、見た目にも新しく、白く立派な建物だ。天候が怪しいのもあり、この講堂の前で参加者一同の記念撮影をした。
その後、参加者一同は講堂の1階右手奥の「ブリーフィングルーム」に入って着席し、防大卒だという陸自士官(広報官)の説明とDVD(約20分)を視聴した。

この動画が私達が視聴したDVDと同一かどうかは分からないが、内容からしてほぼ同じモノだと思う(DVDは4年ほど前のモノで、最新の動画ということで62期の入学から卒業までの5分ほどの動画も視聴した)。つーか、Windows7ですかいな?!Σ(°Д°)
残念ながら、当日観た62期の入学から卒業までの動画は見当たらなかったが、この士官の説明では、

  • 13名が防大へ進学した
  • 17名が航空学生として進学した
  • 今まで高等工科学校には卒業生が1万9千名いる

ということであった。
なお、地元の政治家であり、先ごろ初入閣した小泉進次郎氏は高等工科学校の後援会だそうで、ちょっと微妙だと思ったのも併せて付記しておく。
これは後日談だが、私を誘ってくれた某保守系団体の代表(高等工科学校OB)によると、

  • 高等工科学校の生徒は「自衛官の卵」ではなく「下士官の卵」(自衛隊用語では「陸曹の卵」)が正確
  • 高等工科学校の陸自での位置付けや実績の説明が不明瞭
  • 自衛隊の装備品の整備・修理を担うのは幹部でも新隊員でもなく陸曹であって、装備がハイテク化する中でその要請に応える陸曹を養成するのが高等工科学校であるから、工業高校並の教育が行われている

ということだ。
総じて「あの広報官(防大卒)は説明が下手」ということだった。なるほど、私のような門外漢は「そうなんだ」と鵜呑みにしてしまい勝ちだが、高等工科学校OBともなると着眼点がやはり違う。
仮に私の母校を説明する大学院卒がいたとして、その大学院卒が他大学の学部卒だとしたら違和感を覚えるようなものか。そりゃ、「オメーに何が分かる?」と言いたくもなるな、と思う。
それよりも、重要なことをこの高等工科学校OBの某保守系団体代表が言っていたのは、「パイロットの養成」という点だ。
陸上自衛隊の場合パイロットの養成制度は、海上自衛隊、航空自衛隊と全く異なる。海上自衛隊と航空自衛隊では、高卒予定者を対象に航空学生を募集して6年間の教育で育てるのだが、陸上自衛隊の場合は部内選抜である。
受験資格は3等陸曹に任官してから1年以上経過し、かつ26才未満となっている(陸曹航空操縦学生)。つまり、高等工科学校の生徒は卒業して自衛官になると3等陸曹なので、一般の高卒に比べ20歳から25歳まで5回も受験するチャンスがある、という点だ。これにより、陸自のパイロットの半数以上が高等工科学校出身者が占めると言う。
そりゃ受験資格期間が普通の高卒よりも長いのだから、パイロット志願者にとって高等工科学校は魅力的でしかない。しかも民間の航空会社はもとより、警察や消防のパイロットは自衛隊からの引き抜きがほとんどである(警察や消防でパイロットを養成する機関がない)点を考えても、どれだけ魅力的かを考えれば、これは普通の高校とは全く違った面が見えて来るだろう。
私は漫然と、陸海空の自衛隊の航空科(戦闘機やヘリ等の)パイロットは防大卒がなるものだと思っていたが、実はそうでもなかった。
むしろ防大は自衛隊官僚の養成機関であり、現場で活躍する隊員の養成機関ではないことを、改めて思い知った次第である。
確かにそういった重大な点を説明しない広報官では、いくら優秀な高等工科学校の学生を募集しようとも、魅力の半分も伝えられないだろう。

ブリーフィングルームでの説明とDVDの視聴が終わると、講堂1階の展示室(?)の見学となった。
展示室前の右手に大きな校章(左が少年工科学校時代のもので、右が現在の高等工科学校のもの)が展示してある。
実にカッコイイ校章なので下手な写真を撮ったが、広報官曰く「(高等工科学校の)校章は「飛桜馬」(ひおうま)ですが、中学生の志望者には「ユニコーンです」と説明してます。本当は違うんですが(笑と言っていた。
うーん、、そうか?広報官が「桜という武士(もののふ)の象徴をあしらっていて」「もののふ」に力を入れて説明していたのが印象的だった。

展示室には色々と見るべきモノが多数展示されていたのだが、あいにくと見学時間が短く、かつ参加者が写り込んだりするので、満足な写真が撮れなかった(言い訳)。
それでも、何となく雰囲気が分かって貰えれば、と思う。
この展示室も、一般人が立ち入って見学することはあまりないような話であった。

これは正に「講堂」だが、入学式や卒業式はこの講堂で行われるそうだ。
ココもチラっと見学したのみ(写真に写っている生徒?は高等工科学校の生徒ではない由)で、下手な写真でしかないが、記録といった意味で掲載しておく。
私が愛用しているデジカメは古いので、オートフォーカスがトロく時間がかかるため、時間がないとどうしてもこういった「甘い」写真になってしまう。その都度、いつもイライラしながら「一眼デジカメ買ったろか!?」と思う(思うだけ)。

高等工科学校の教室の実態

講堂での見学が終わると、その裏手から出てすぐの「総合教室舎」へ見学に向かった。
参加者が多いので、ザックリ二手に別れて見学したが、この歳になって高校生の校舎を見学するとは思ってもみなかった。

そりゃ、ブラ下がりたくもなるよねぇ(笑)。

でもちゃんと、下にはカバンと帽子が整然と並べてあり、真面目に授業を受けている生徒がそこにいる(当たり前か)。

たまたま私達一行が入ったのが家庭科実習室(?)のようで、ほほう、こういった教室もあるのね?と思って見学していたら、床が一段低くなっており、この写真の台がちょっと高い格好になっている。
高等工科学校の教員が説明するには、「一般に男子生徒の背は高いので、丁度良い高さになってます」とのこと。
でも、背の低い生徒のために一段低い台も一箇所だけあり、「チビっ子はあそこで実習します」ナルホド。
年配の参加者が「なんだ、家庭科なんかも高等工科学校でやるのか」と言うと、その言葉を教員が引き取って「今は家庭科も高校卒業要件なんですよ」と説明し、年配の参加者は一様に驚いていた。
私も家庭科には思い出がある。
あれは25歳の時だったが、大検を受験するので中退した高校に成績証明を出して貰って大検を受験したのだが、必修科目に「家庭科」があって面食らった。つまり、大検に合格したければ、家庭科も筆記試験で合格せねばならない。
何だこりゃ?と思ったが、(今は知らんが)書店に家庭科の参考書が売っているワケもなく、結局は無勉強で受験するしかなかった。
後で文部省(当時)が発行した大検の成績証明書を見たら家庭科の成績は悪いものの、とりあえずは合格したが、それでも家庭科が必修ではなかった頃の私達世代では、全くの無勉強なら普通に不合格だろう内容の試験ではあった。

廊下はこのように、普通の高校よりも広い。
それは駆けっこをする元気の良い高等工科学校の生徒のため3列に整列する生徒の横を十分に通り過ぎるための広さである、と教官が説明してくれた。ナルホド。

授業が終了して使わなくなった教室は、このような形で整理されている。
これとは別の教室だが、生徒が机やその中に何かを残している教室があった。すると、東京ラブストーリーばりに教員が「ざーんち!(残置)」として残置した生徒を激しく叱責するのだそうだ。
自衛隊はいつでもどこでも自己完結で任務を遂行する傍ら、必ず「現状復帰」をするのが鉄則なので、いついかなる場合であっても、現場に残置物を放置するのは厳禁なのである。
そこで高等工科学校でも愛の鉄拳(かどうかは知らん)が飛ぶようだ。私とその教官が見た残置物は個人の成績が書き込まれたモノで、「あーあ、情報漏洩かよw」とおもた(笑)。
武士の情けでその写真は撮らずにおいたし、仮に撮っても公開する気はないが。

校舎の昇降口から見た校庭はこんな感じ。ナイター施設であることが分かる。

ズームすると、遠くに航空自衛隊の退役したナイキミサイルJ(レプリカらしい)が見える。

右側には、これまたナイターバッチコーイ!のラグビー場が見え、近隣の高校がしきりに試合を申し込んで来るのだとか。
まぁ、高校でこれだけの敷地とナイター施設があるラグビー場は珍しいし、相手が陸自の高等工科学校なら、遠慮なく試合も申し込んで来るだろうなぁ。
写真には収められなかったが、野球場も同様にナイター設備が完備された球場らしく、こちらも同様に他高校が交流試合を申し込んで来るのだとか。 まぁ、相手が高等工科学校(以下、略)。
ともあれ、運動関係部活には恵まれている学校だと言えるだろう。

再び校舎内に目を移すと、こんなような共用スペースがあり、生徒は自習するなり新刊の雑誌や本を読むことが出来る。

掲示板には色々と貼ってあって興味深かったのも多数あるが、その中でコレを掲載しておこう。
確かに台風15号の災害出動に関する記事は沢山貼ってあり、どこそこ方面のどこそこ部隊が災害派遣しているといった記事も多かったが、私はそれよりも「人口減少を攻略せよ」の記事の方が重要に思えた。 恐らく、高等工科学校の優秀な生徒なら、この事態の深刻さが良く分かるだろうと思うからだ。
そういった意味で、一般の生徒・学生・社会人よりも、ハッキリ言ってマトモな教育を受けているのが高等工科学校の生徒だろうと思う。

その他

その後、武山駐屯地の教育部隊の施設で「武山駐屯地研修」(これは何故か高等工科学校OBが研修を担当した)を受けたり、売店でお土産を買ったりしたが、それはどうでもいい話なのかも知れない。

ただ、いずれにせよ時間がない中でキツキツなスケジュールであったので、それはそれでどうなんだろう?とは思った。
見たいモノや買いたいモノがあっても、短い時間制限の中では難しいし、トイレ時間すらなかなか無かった。

おわりに

私の中学生の頃の親友は、陸自のアパッチヘリのパイロットになりたかった人間である。
ところが、バカ高校の県立の入試にすら失敗(どうも英語の試験が0点だったそうだ)、それで私立のバカ高校に入学して卒業した。
私と彼は別々の高校だったので(しかも私は中退しているし)彼がどの程度の学力で努力したのかは知らないが、見事に陸自の試験に落ちた。
当時はバブル景気であったのだが、彼は陸自の試験しかアタマになかったのか、高校が新設校でそれほど用意周到でもなかったのか知らないが、彼は高校を卒業したが路頭に迷い、当時私が起業した会社で雇用した経緯がある。
結果として、彼は能力も無かったが、協調性も何も無かったので、目出度くクビと相成った。若い私からすれば残酷だと思ったが、結果的に彼はそこで思い知ったのだと思う(それ以降、彼は私を目の敵にしていたようなのでその後のことは知らないが)。
その後、私が社会人をやりながら大学生をしていた頃だったが、某大学の社会人学生(当時、この人の長男は小学3年生だった)が、「ウチの息子は少年工科学校に入れるか、鮨屋の丁稚にする」と、酔うとそんなことを言っていた。
早い話が、若くして手に職を付けて欲しかったのだろう。その当時小学生だった長男は、その父と同じ大学を出た青年になっているが、果たして今はどんな職に就いているのだか、私は知らない。
これは私も含めて言えることだが、「いつか」に常に備えていなければならないのだと思う。
例えば、いきなりプロレベルのソフトウェアを作れと言われることはないだろうが、それを発注する立場になることはあるだろう。その時までソフトウェアのイロハも知らなければ目も当てられない。
これは極端な例かも知れないが、「知らないこと」「出来ないこと」を突如命令されるのがサラリーマンなのである。
世の中は理不尽に満ちているが、もっと簡単に言えば、小学生や中学生から学力がなければ、いきなり陸自の高等工科学校を受験することは(受験するだけは誰でも出来るだろうが)無理だろう。
仮に、私の中学時代の親友が高等工科学校(当時は少年工科学校)を知っていれば、また違ったのかも知れない。
中学の親友の彼はアパッチのパイロットになりたかったのだから、本当に目指していれば、当時の少年工科学校には間に合わなくとも、それを意識した生活なり勉学なりに励めたかも知れない。
また、私の他大学の友人も、詳しく少年工科学校を知って理解していたら、「鮨屋の丁稚」と同等に思わなかったかも知れない。
それだけ、現在の高等工科学校はあまり一般に知られていないのではないか?と思う。
高等工科学校は現在の少子化でも10倍以上の狭き門であり、ある程度の学力がなければ入学は難しいし、入試を突破しても、その後の生活を維持する学力と体力の維持は難しいだろう。これだけ一般に余り知られていないのに、だ。
その点、私は今回の見学で高等工科学校の一面を少し知ることができ、こうして記事を書いたが、どうだろうか。
最後に、私を含め、「大学は良い」「大卒であるべきだ」と思っている大人は多い
大学で学問をするのは有意義なのだが、誰もが大学に進学するのは必ずしも良いとは限らない。
高卒や専門卒でも優秀な人は多いし、現場でその力を遺憾なく発揮している人は少なくない。
これは高等工科学校の卒業生にも言えることだが、階級社会の自衛隊では、無論、階級が上の防大卒の方が良いに決まっているだろう。
しかし、一般大卒も防大卒も、本来は組織のトップに立つ人材を育成するのが本当で、現場で汗を流す人材を育成する場ではないハズだ。
私もそうだが、現場で頑張りたい人は、無理に大学なんぞに進学して卒業する必要はない。
大企業病と良く言われるが、子を持つ親や周りの大人が正に大企業病であり、高等工科学校のような世界を知らない、狭い範囲の知識・見聞のみで子供や社会に対して偏見に満ちた意見を持ち、無責任に「言うだけ」なのではないだろうか。
今回高等工科学校を見学してみて、私にはそんな気がしてならなかった。
必要なのは学歴でも階級でもない、その個人が活躍出来る場があればいいのだ。それ以上は、望みすぎなのでは?と思う。

追記

高等工科学校にしかない部活」ということで、某保守系団体の代表の方からこの動画を紹介していただいたので、追記しておきたい。

これは高等工科学校ドリル部の動画で、昨年の陸上自衛隊高田駐屯地創設68周年記念行事でのものだ。見事なライフルさばきとドリルが融合した、正に陸上自衛隊の高等工科学校ならではの部活動と言えるだろう。実に圧巻なので、ぜひご覧頂きたい。

ちなみに、来る9月29日(日)には陸上自衛隊 高等工科学校 創立64周年記念行事が行われる。興味のある方は参加してみてはどうだろう。

この拙い記事について、情報をお寄せ下さった高等工科学校OBで某保守系団体代表のNさんには、改めて感謝申し上げたい。


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