例年だと3月15日が確定申告の期限で、2020(令和02)年度分はコロナ禍の影響により、申告期限が1ヶ月延長になったものの、自営業者やフリーランスはもとより、勤め人でも副業等で収入がある人は、確定申告で忙しいのではないだろうか?
そんな折、Google AdSense(以下、「アドセンス」と略)アカウントを持っていて、運営するサイトでアドセンス収益を得ている人、またはYouTubeで収益を得ている人は、Googleから英文で「すべてのYouTubeクリエイターとパートナーの皆様に、税務情報を提出していただく必要があります」といった内容のメールが届いていると思う(まだ届いていない人もいるとは思うが)。
ザックリ言うと、YouTubeを含むGoogle広告(アドセンス)は、「2021年5月31日までに税金情報を提出していないクリエイター(アフィリエイター)に関して、Googleは全世界の収益の最大24%を控除する(正確にはその「可能性」がある)」ということで、「ワシは日本人じゃから米国Googleに税金を控除される必要はありゃせんがな!」と申請する必要がある。
そこで、毎年確定申告をしているような人でもアドセンスの税務情報の提出に関しては分かりにくいと思うので、図を多用して解説しようと思う。
前提条件と対象になる人
アドセンスの税務情報を提出するには、マイナンバーカードが必須となる。
最悪マイナンバーカードを持っていなくても、通知カード(2020(令和02)年5月末で廃止)を持っていれば、申請は可能である(後でマイナンバーカードの個人番号に修正申請することは可能だと思う)。
マイナンバーカードを持っていない人や、通知カードに関しての詳細は、次の記事を参照して欲しい。
税務情報の提出が必要になる人は、整理すると次の場合のいずれか(または全部)である。
- アドセンスでアフィリエイト収益を得ている(または得ようとしている)ウェブサイトの運営個人(または法人)
- YouTubeから広告ビュー・YouTubeプレミアム・スーパーチャット・スーパーステッカー・チャンネルメンバーシップで収益を得ている個人(または法人)
上記 2. の場合は、自身のYouTubeチャンネルが収益化の対象になっていないのなら税務情報の提出対象にならないが、1. の場合でもアドセンスから1円でも収益が出ている人は、実際に金銭が振り込まれていようがいまいが関係なく、税務情報の提出対象となる。
ゆえに、税務情報の提出対象者で、マイナンバーカードまたは通知カードを持っていない人は、早めにマイナンバーカードを申請しないと、本年5月31日までの税務情報提出期限に間に合わなくなる可能性があるので、焦った方が良いだろう(マイナンバーカードは自治体によっても違うが、申請から発行まで2~3ヶ月ほどかかるようだ)。
なお、私は個人でサイトを運営しているため、本稿では個人が申請する場合で説明する。
Googleへ税務情報の提出手順
なにはともあれ、ブラウザでアドセンス画面(ホーム)を表示する。
図は本稿執筆時点のアドセンス画面だが(記事掲載用に解像度を落としてある)、税務情報を提出するには赤枠「お支払い」をクリックする。
お支払い画面に遷移するので、図赤枠「設定を管理する」リンクをクリックする。
画面を下へスクロールし、図赤枠「アメリカ合衆国の税務情報」横にあるペンのアイコンをクリックする。
すると、ペンのアイコンが消えて図赤枠「税務情報の管理」リンクが表示されるので、クリックする。
画面が遷移し、図赤枠「税務情報の追加」ボタンをクリックする。
セキュリティの関係から(?)アカウントログイン(確認)画面に遷移するので、メールアドレスを確認し、パスワードを確認して図赤枠「次へ」ボタンをクリックする。
画面が遷移し、以降は米国の税務情報の入力となる。
口座種類を選択(本稿では「個人」をクリック)し、図赤枠「次へ」ボタンをクリックする。
次に、米国民か米国に居住しているか?と聞かれる。
実は私、オヤジ・ボブ・ダジャレンジャーという日系3世のアメリカ人で、カリフォルニア2中から県立加州高校を卒業した後にニューヨークに渡って在住している・・・ということは一切ないので「いいえ」をクリックして図赤枠「次へ」ボタンをクリックする。
次に、納税申告用紙タイプの選択をする。
通常は「W8-BEN」をクリックし、図赤枠「W-8BENフォームの記入を開始する」ボタンをクリックする。
画面が遷移し、以降は税務情報のW-8BEN納税フォームの入力となる。
まずは①納税者番号として、図赤①~③を入力する。
① 個人名をローマ字で入力(私は英語圏に倣ってファーストネーム+ラストネーム形式で入力した)
② 納税者番号にマイナンバーカード(通知カードしか手元にない場合は通知カード)の個人番号(12ケタの数字)を入力(ハイフンは入力しなかった)
③ 入力内容を確認して赤枠「次へ」ボタンをクリック
次に、②住所として図赤①~⑥を入力する
① 郵便番号(ハイフン込み)を入力
② 都道府県をコンボボックスから選択(都道府県のみ選択式なので日本語になっている)
③ 市区郡を英語表記で入力
④ 市区郡以外の住所を英語表記で入力(必要であれば住所2行目も入力)
⑤ 送付先住所が①~④と同一の場合はチェック
⑥ 入力内容を確認して赤枠「次へ」ボタンをクリック
上記③と④の住所は英語表記(ローマ字)で入力する必要があるため、住所の英語表記に自信がない人は次のサイトで住所を日本語で入力し、英語表記をコピー&ペーストすると良いだろう。
次に、③租税条約を入力(設定)する必要がある。
日本は米国と租税条約の適用があり、ウェブサイトの運営やYouTubeでの収益に関係なく、画面で設定する次の3つ
- サービス(AdSense)
- 映画とテレビ番組(YouTube,Google Play)
- その他の著作権(YouTube,Google Play)
について、チェックと「0%」の軽減税率を設定すれば問題がない。
基本的に何も考えずに図赤枠のチェックをクリックし、赤字「※」項目のコンボボックスを選択すれば良いだろう。
最後に赤枠「次へ」ボタンをクリックする。
次に、④書類のプレビューを確認する。
図に赤字で書いたが、4件のフォームのリンクをクリックするとPDFが表示・ダウンロード可能になるので、パソコンのローカルに保存し、内容の確認をする。
問題がなければ図赤枠のチェックをクリックし、赤枠「次へ」ボタンをクリックする。
ちなみにPDFは4つとも内容は全部同じようだが(?)、図のようにPDFを表示させて名前と住所を確認しておいた方が良いだろう。
次に、⑤納税証明として図赤①~③を入力する。
① 戸籍上の姓名をローマ字で入力(ラストネーム+ファーストネーム)
② 「はい」をクリック
③ 入力内容を確認して赤枠「次へ」ボタンをクリック
最後に、⑥米国内で行っている活動とサービス、および宣誓供述書を設定する。
図赤字「※」項目のラジオボタンをクリックし、赤枠チェックボックスをクリックすれば良いだろう。
最後に赤枠「送信」ボタンをクリックする。
図の画面に遷移したら、アドセンスでの税務情報の提出が完了する。
とりあえずこれで、早ければ今年6月から「Googleから得た収益の最大24%を米国Googleから控除される」心配はなくなったワケである。
Googleから得た収益を確定申告する場合はどうなるか?
私の場合で言えば、アドセンスを含むアフィリエイト収入で生活が成立しているワケではないし、年間で得られるアフィリエイト収入自体が少ないから、確定申告では単純に「雑所得」として処理をしている。当然ながらレンタルサーバ代や、ドメイン維持にかかる費用を経費として計上しているのは、言うまでもない。
問題は、アフィリエイトだけで月間100万円とかの利益を上げているごく少数のアフィリエイターや、YouTubeだけで生活が成立しているYouTuberやVTuberだろう。
アフィリエイトやYouTubeで収益を上げるために購入した機材(バソコン・撮影・録音・編集機器等)や、ソフトウェアやサービス利用代金(サブスク形式含む)は、「どの程度経費として認められるか?」といった問題はあるものの、税処理上、確定申告で問題になることはない。
問題があるとしたら、次の点が挙げられる。
- 収益が上がるまでに費やした経費明細の算出
- 収益が上がるまで投資したソフトウェア資産の価値と減価償却
- アドセンスの税務情報をGoogleに提出しなかった場合に控除された収益減の税務処理
上記のどれもが確定申告をしたい本人にとっては困難であるし、税理士に相談(もしくは丸投げ)したとしても、ITに詳しい税理士は皆無に近いから、これまたどうにもならないだろう。
特に上記 3. に関しては、今後「発生し得る」としか言えないので、本稿その他を参照してGoogleにアドセンスの税務情報を期日までに提出できなかった場合には、現状では何とも言えない。
そもそも上記 2. の「ソフトウェア資産の価値と減価償却」に関しては、未だに国税ですら明確な判断基準やガイドラインなんぞ無いだろうし、企業でも「研究開発費」名目で計上しているのが実情だろうと思う。
とは言え、「オラ (゚⊿゚)シラネ」でブン投げるのは余りに無責任なので、個人で不安に思っている人は次の記事を参照し、記事を公開している税理士事務所へ相談してみるのが良いかも知れない。
おわりに
ここ何年かで世界的な「GAFA包囲網」がG20で検討され続け、やっと「GAFA規制」に実質が伴うようになって来たような気がする。
ツイ民やFB民からすると、「GAFA包囲網」もしくは「GAFA規制」を「SNSでの言論弾圧がなくなる」もしくは「ネット言論の自由が担保される」と勘違いするカモだが、当然そんなことではない。
普通に考えて「国境のないネット空間で発生した利益(収益)は、どこで課税され、どこに税金を支払うべきか?」という問題がある。
この10数年間、時代遅れで頭の固い日本を含むG20各国の政治家や法学者に経済学者、各種シンクタンク等は明確な答えを出せず、それをいいことにGAFAは適切な売上に伴う税金(という表現がすでに適切ではないかも知れないが)を回避し続け、タックス・ヘイヴンに売上を計上することで、巧みに莫大な課税から逃げて来た、と言える。
今回、本稿で取り上げた「アドセンス税務情報のGoogleへの提出」は、そういった「GAFA包囲網」の一端であり、「GAFA規制」のひとつの具体例であると考えて良いだろう。
つまり、いくら世界的に新自由主義(ネオリベラリズム)とグローバリズムが進展しようが、「野放図な税金逃れは許さんぞ」ということだ。
これはある意味、「新自由主義vs保守主義」の対決が新たなフェーズに入ったことを意味するのかも知れない。
それはともかく、日本国内でも国税は個人または法人による「ネットビジネスとその課税」について、今まではなかなか手が出せなかったようだが、「何が何でも税金を徴収する」のが国税の使命とばかりに、今では国税の「電子商取引専門調査チーム」がかなりの精度で調査をしているから、個人のちょっとしたネット収益であっても、税務署が把握していると考えて良さそうだ。
最後に、、個人的に「デジタル庁(仮称)」の設置には、絶対零度の冷ややかな目で見ている。せいぜいバカなことをしなきゃいいけどな、程度にしか思ってない。
所詮、今の日本の偏差値エリートのバカ官僚と、世襲議員ばかりの腑抜け政治家に、何かを期待する方が無理なのだ。
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