日本企業で「出世する人」たちが「保身クズ野郎」ばかりになってきた当然の理由

個人的に現代ビジネスの記事は(有料のPREMIUM記事もあるが)無料なのに面白い記事が多いので、ついつい読んでしまうのだが、先日サントリー社長の「45歳定年発言」が炎上したばかりだし、自民党総裁選とも相まって、非常にタイムリーな記事があった。

記事の核心に触れる前に、前提として日本企業(特に大企業)には「働かないおじさん」がいることをご存知だろうか?
いわゆる「社内失業者」と言われる人が400万人も存在している、らしい。
これは統計的な調査が行われていないので「らしい」としか言いようがないが、企業規模に関係なく中高年社員は企業内で中間管理職となり、何らかの形で現場から遠ざかることになる。
無論、零細企業では社長も部長も役職に関係なく現場で仕事をしていたりするが、個人商店やフリーランスを除けば通常はそういった企業の方がマレで、経営者(経営層)には経営者の仕事があり、平取未満の部長以下の中間管理職には中間管理職の仕事があるものだ。そして係長までの指導職には現場の仕事が当然ある。
ところが、日本企業には不思議な役職があるもので、私は若い頃に誰もが知る某大企業の社員から「課長格」なる役職名の名刺を貰ったことがある。「は?課長じゃねーの?」と、若い私は大いに混乱したものだ。
バブル景気が弾けた1990年代末ぐらいまでは、「窓際族」などというサラリーマンの社内用語が流行語のように扱われたものだが、正に課長格やら部長級といったような、妙な肩書のサラリーマンが「社内失業者」状態で会社に飼われていた。
現在の低賃金で重労働を強いられる若いサラリーマン(もしくは30半ばの中堅サラリーマン)といった意味ではなく、本来的な意味で「社畜」だ。
サントリー社長の意を勝手に汲めば、「現場で稼がない(稼げない)上に、年齢に応じた高給取りなだけの、プレゼンもマネジメントも出来ない中高年社員は要らない」ということだろう。
もうすでに使い古された笑い話だが、転職の面接で企業の面接官に「あなたは何が出来ますか?」と問われ、中高年の転職希望者が「部長なら出来ます」と答えたといった話でしかない。

そこで現代ビジネスの記事に話を戻すが、政官民ともに、中高年ともなれば何かしらの「利権にしがみつく」しかないのが実情だ。
私は政治家や官僚になったことがないのでワカランが、政治家なら次の選挙で「ただの人」に落ちぶれるやも知れず、官僚や役人全般は概して熾烈な出世競争を強いられるから、当然落ちこぼれる人もいるだろう。
すると、「苦労して現在の地位に登り詰めた」人たちこそ利権に群がるのは、コレは人間心理としてしゃーない事象だと言える(「だから仕方ない」という話ではない)。
民間企業にしたところで大差はなく、未だに「良い大学を出て大企業で定年まで働く」といったような昭和の価値観が根強いから、どうしても日本型経営の特徴である終身雇用(超長期雇用)の年功序列が念頭にある。中高年である程度の役職を得ている人は特にそうだ。
ゆえに、新卒入社した会社にしがみつこうとする傾向は、若者より中高年ほど強い。中高年社員ならではの「社内利権」がないではないからだ。だから「社内営業」する「出世する人」が現れる。
そして現代ビジネスの記事では退職金が「保身」を生むとしているが、それは一面正しいながらも、それだけでは説明がつかない。
私のような50代前後世代ならとっくに分かっていることだが、定年退職して年金だけで生活が出来るなんて夢物語だろう。
だから退職金となるが、普通は細々とした老後資金にするか、マイホームのローンを一括返済するか、一か八か勝負に出て外食系の店舗を開いて地獄を見るか、子供の教育費その他で食い潰されて終了のいずれか、なのではなかろうか。要するに、その程度の退職金しか出ないことを知っているのだ。
いずれにせよ、人生を差し出したサラリーマン生活の果てにある「ハッピーリタイア」なんてのは、我々の親世代(団塊の世代)で終了した夢物語なのである。
そういった意味で現代ビジネスの記事は歯切れが悪く、「続きは書籍を買って読め」と言わんばかりな気がするし、記事内容も「意外なワケ」でもなければ、本文で「最大の武器を手に取れ」と言いつつ、現実的な話ではない。
なぜなら、官僚を含む役人やサラリーマン全般は、現在の社会システム--端的に言えば、多少給料が安くても各種手当(しかも昨今は残業代も月n時間でm万円として組み込まれている)に慣れ切っているからだ。
それに加えて昨今のAI(人工知能)ブームとDX(デジタルトランスフォーメーション)ブームである。

パソコン歴約40年、本職にして30年ちょっとの私からすれば「またか」という既視感と、約20年前に学部の卒論で「IS構築における暗黙的ジレンマ・モデル」として拙いながらも論文にまとめたので、「時代は繰り返される」としか思わない。
ここで私の卒論の概説をしようとは思わないので割愛するが、欧米ではITの発展によって企業その他は業務内容をドラスティックに変化させるし、ITによって効率化された職場では当たり前にリストラが容赦なく断行される
日本では労働基準法に代表される労働三法によって労働者は手厚く保護されているため、いくら昨今のAIブームやDXブームといったIS(情報処理システム)の高度化や進歩があっても、業務内容がドラスティックに変化することは少なく、ましてや人員整理に発展するリストラは発生しにくい社会となっている。
そして一般的に言えることだが、中高年になっても「学ぶ姿勢」がある人は非常に少ない。若い頃に学校で学んだ理論と、社会人で若い頃に叩き込まれた常識とルールと仕事のやり方が正しいと思い込んでいて、多くは思考停止状態だ。
ゆえに、市場といった外部要因が強く作用し、組織内部での熾烈な出世競争がある民間企業ですら「働かないおじさん」といった、不思議な人種が生まれるのである。
正確に言えば「働けないおじさん」と言った方が正しいのかも知れない。
社会や現場のルールの変化について行けず、社内においても若手社員を指導し、効率よくマネジメントして売上を上げるといった役にも立たず、ただただ社歴のみを重ねた存在。
そりゃ、サントリー社長じゃなくとも「45歳定年」と言いたくもなるだろう。もはや日本企業は、大企業でさえ「働かないおじさん」を飼っている余裕すらないのである(事実、コロナ茶番以前から大企業ほど早期退職者や希望退職者を募っている)。
そして繰り返すようだが、良い大学を卒業して大企業に定年まで勤め上げるといった昭和の価値観しか持たず、ゆえに「学歴はあるが学力がない」バカが大量生産され、「何の為に生きているのか」といった哲学もなく、ましてや文学すら読まない低レベルの日本人ばかりだというのが現状ではなかろうか。
そんな人間が中高年になって何をするかと言えば、社内外を問わず自分から価値を生み出せないゆえに、会社や省庁(役所)にしがみつくだけの「保身クズ野郎」に成り下がるしかないのである。
それはIT企業に勤める私と同世代でも、実はあまり変わりがない。
流石に働かないおじさんではないが、従来の仕事のやり方に固執し、それ以外を認めない(むしろ「知らない」)人間は多い。
そういった人はとっくに現場から離れているので、「この歳になって未だにコードなんて書いているのかよ?」といった価値観だ。
だからいつまで経っても物事の本質を見抜けないし、自分自身が会社組織を離れてしまえば、全く価値のない存在に成り下がっている現状を理解していない。
そういった連中のトドメを刺すには、COBOLの生みの親でもあるグレース・ホッパーの言葉を引用してやるのが一番だ。

(プログラマーは)あっという間に成長し、短期間でプロになり、すぐに、変化を嫌がるようになる。
顧客が仕事のやり方を変えようとしないと言って激しく非難しているプログラマーが、わたしのオフィスに来て、「でも、われわれは、いつもこうやってきた」と言ったりする。
わたしが反対周りの時計を置いているのは、そのためだ。

出典:G・パスカル・ザカリー(山岡洋一訳)『闘うプログラマー』[上]
(日経BP出版センター・1995年03月10日 1版5刷)

デジタル庁?・・・AIDXも結構だが、日本はこういったIT業界や日本を牽引している中高年が無駄に頑張っている世界なのを知るべきだろう。
そりゃあ無理ゲーだよな、と思わない方がどうかしている。
最後に、、中年の私が絶望しているのに「若者よ、絶望するな」などと言えた義理ではない。
だが、社会を変革し得るのは、常に若い理想と希望であるのは間違いがないだろう。
私も若い頃には理想と希望に燃えていたし、今は絶望しながらも希望は捨てていない。それは理想があるからだし、私なりの信念があるからだ。
確かに私は今、絶望の淵にいるかも知れないが、実はこんなことは毎度のことであり、今までも何とかして来たのである。だから私は未だに「保身クズ野郎」にならずに済んでいるのだ。
noteにこんな記事も書いているので、良かったら参照して欲しい。

そんな一日だった。(´ー`)y-~~oO


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