【ネットで発信する本質とは】かつてネットには「テキストサイト」という文化があった

【ネットで発信する本質とは】かつてネットには「テキストサイト」という文化があった

本を正せばTwitter社が悪い。
9月の下旬にTwitterアカウントが突然ロックされ、Twitter社に問合せをするもラチが明かず、2週間後には凍結されてしまった。無論、即刻異議申し立てはしたが、特に何の連絡もないままであるから、別にアカウントを作成してイチからやり直すハメになった。
ところが、親しくさせてもらっている相互フォロワーさんに凍結されたアカウントが復活していることを聞き、確認したらいつの間にか凍結が解除されて復活していた。「凍結だけに自然解凍した」とでも言うのだろうか?
アカウントは元に戻ったにせよ、失ったフォロワーさんは取り返しがつかない。
とりあえずフォローしてくれているアカウントをフォローバック(フォロバ)し、地道な活動をするしかないが、フォロバする際に私は念のため、相手アカウントのタイムラインを確認する。
フォローされたからとてツイートがゼロとか極端に少ない場合や、思想信条的に無理なアカウントまでフォローする必要を認めないからだが、毎回フォロバ作業をすると色々なツイートや記事を目にすることになるので、思いもしない新鮮な情報が得られるメリットがある。
そこで、目にしたのが次の記事だ。

私もWebサイトを運営し、こうして駄文やらプログラムやらを公開している身なので、この記事のスゴさが良く分かる。これだけ長い文章を飽きさせないどころか、面白く最後まで読ませる技量は、並大抵のモノではない
ビックリマンチョコ」が出てくる内容からして、私より何歳か年下だと思われるが、恐らく同じ40代だろう。
敢えてツッコミを入れると、この記事の作者が小学生の頃に1.8リットルパックの「鬼ごろし」は無いハズだ。そして細かいことを指摘すれば、「鬼ごろし」ではなく「鬼ころし」が正しい。
また、「鬼滅の刃」→「鬼殺し」→清酒「鬼ころし」という着想は、つい先日ツイキャスで深夜に呑み屋から配信していた相互さんに、私が「鬼滅ファンなら『鬼ころし』頼まなきゃw」とコメントする程度に、それほど大した着想でもない。
ゆえに、恐らくこの記事の内容は「盛っている」か、「全くの作り話」という可能性すら排除出来ないが、それらの点を除いても、ほぼ文章だけでこれだけ読ませる記事は中々書き得ないと断言出来る。
この作者はセミプロか、プロのライターだと思うが、それにしてもこの手のテイストは妙に懐かしい。Twitterアカウントのリンクがあるので興味本位で覗いてみると、プロフィールには「テキストサイト管理人」とだけある。
テキストサイト管理人だと!?
どおりでこれだけ読ませる文章が書けるハズだ。百戦錬磨の猛者に間違いなかろう。

・・・2000年前後頃、ネットは正にカオス状態だった。
従来からのパソコン通信草の根BBS含む)で頑張っている人、マックやWindowsパソコンを使ってダイヤルアップ接続でインターネットの扉を開け、物珍しくただただネットサーフィンをする人や、ホームページ・ビルダー等でお手軽にページを作る人、HTMLを勉強してテキストエディタでWebページを手組みする人まで千差万別、2ちゃんねるが開設され人気を博したのもこの頃だ。
ちょうど、日記を公開する各種サービスサイトが飽きられて衰退していた頃だったように思うし、個人が運営している、まるで読むべき内容がない「作っただけで満足」な自己満サイトが溢れていた頃だったように記憶している。
私は昼間フリーランスのSE兼プログラマとして働き、夜は二部生として大学生をやっており、所属している大学サークルでサークル公認サイトやメーリングリストを整備して運営していたから、「ホームページはカネ(仕事)にならない」と頭から決めつけていたのもあって、当時はネットを純粋に楽しんでいた。

そんなネットの世界に彗星のように現れ、一気に人気が爆発したのが、この画像がトレードマークとなったテキストサイト侍魂」だ。
私がグダグダ書いても仕方がないので、今でも不定期だが更新されている(!)「侍魂」の、当時の私達が大爆笑した記事のひとつを、まずは読んでみて欲しい。

当時も今も、Webサイトを運営している私のようなサイト管理人(ウェブマスター)が心を砕き、絶えず努力するのは「いかにサイトに集客するか」に尽きる。それが仕事か趣味か目的は別にしても、Webサイトを運営するからには「サイトを見て貰わなきゃ話にならない」からだ。
これは現在のSNSでも同じことが言えるが、Twitterでいくらツイートしても、一向にリツートされなければ誰からもリプライされず、「いいね」すらされないアカウント無数にある。当然ながらそのままではフォロワーも増えないし、ついには何をツイートして良いやら、やってても楽しくはないだろう。
それはWebサイトの運営も全く同じで、特に当時はスマホはおろかSNSすら存在しないし、限られた一部の人以外は、全部電話代が発生する従量制で、それとは別にプロバイダ料金を支払う上にナローバンドなインターネット環境だったから(当時は「ホームページ」と呼称していたが)Webサイトを運営する困難さが、お分かりいただけるだろうと思う。
そんな中、まだブログサービスが流行って一般的になるまでは、2ちゃんねると共に「侍魂」のようなテキストサイトが大いに流行ったのである。当時の2ちゃんねるは現在のTwitterのように、拡散力があったのだ。
ともあれ、取り上げるネタと文章を巧みに読ませるテクニックは、現在のSNSでの投稿やブログといったネット記事での発信に通じるモノがある。
そして何より大事なのは--

金木小学校 太宰治「微笑誠心」碑

 誰か僕の墓碑に、次のような一句をきざんでくれる人はないか。
「かれは、人を喜ばせるのが、何よりも好きであった!」

太宰治正義と微笑」(新潮文庫『パンドラの匣』所収)より

自分が発信したSNSの投稿やネット記事を読んだ人が、かすかにでも「よかった」と喜んで貰えたら、それだけで良い。
変わったのは進歩した各種テクノロジーと世相ぐらいで、本質的にはあまり変わらんなと思いつつ、当時のネットを懐かしく思い出した。まさか「侍魂」を再読するとは夢にも思わなかったが、当時も今も大爆笑した私は、20年前からさほど進歩はしていないようだ。

そんな一日だった。(´ー`)y-~~oO

 


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